住まない実家は相続してはいけない?判断するときの5つのポイント

当サイトにはプロモーションが含まれています。

「住む予定のない実家を相続することになったけど、このまま相続しても大丈夫?」

住まない実家でも、相続すれば固定資産税や維持管理の負担が生じます。
空き家のまま放置すると、建物の老朽化や近隣トラブルなどにつながる可能性もあります。

一方で、住まないからといって、必ずしも相続してはいけないわけではありません。
将来的に住む可能性がある場合や、売却・賃貸などで活用できる場合は、相続するメリットがあるケースもあります。

この記事では、住まない実家を相続すると負担になりやすい理由や、相続するか判断するポイントを解説します。
相続しない場合の相続放棄や、相続した場合の売却・賃貸・管理などの対処法も紹介しますので、実家をどうするか迷っている方は参考にしてください。

住まない実家を相続すると負担になりやすい理由

誰も住まない実家を相続すると、金銭的・精神的な負担が長期にわたって生じます。
住まない実家が負担になりやすい4つの理由を解説します。

固定資産税などの負担が続く

不動産を所有していると、原則として固定資産税がかかります。
市街化区域内にある土地・家屋などには、都市計画税がかかる場合があります。

被相続人と同居していなかった子供が実家を相続する場合は、小規模宅地等の特例を適用できるとは限りません。
一定の要件を満たせば、相続税の課税価格を最大80%減額できる場合がありますが、要件を満たさない場合は特例を利用できず、相続税の負担が大きくなる可能性があります。

維持管理に手間や費用がかかる

住まない実家でも、建物や敷地を適切に維持するために定期的な管理が必要です。
たとえば、次のような作業があります。

  • 室内の換気や掃除、通水
  • 庭の草刈りや剪定
  • 雨漏りなどの建物の点検
  • 郵便物の確認
  • 不審者の侵入などがないかの確認

実家が近くにあれば自分で対応しやすいものの、遠方に住んでいる場合は移動だけでも負担になります。
住まない実家は時間や費用をかけて管理しなければならない点に注意が必要です。

【関連記事】空き家の草刈りは必要?適切な頻度や時期、費用相場を解説

空き家の老朽化や近隣トラブルなどのリスクがある

放置された空き家は老朽化が進みやすく、台風や地震の際に瓦の飛散や外壁の落下の危険性が高まります。
また、庭木の繁茂による隣家への越境、害虫・害獣の発生、ゴミの不法投棄、さらには放火や不審者の侵入といった防犯上のリスクも増大します。

管理不全が原因で通行人や隣家に損害を与えた場合は、所有者として損害賠償責任を問われる可能性があります。

【関連記事】実家を空き家のまま放置するとどうなる?リスクと対処法を解説

管理不全空家・特定空家に指定される可能性がある

適切な管理が行われていない空き家は、行政から管理不全空家や特定空家に指定されるリスクがあります。
管理不全空家とは、適切な管理が行われておらず、そのまま放置すると特定空家になるおそれがある空き家を指します。
特定空家は、倒壊などの危険性がある、衛生上有害となるおそれがあるなど、周囲に著しい悪影響を及ぼす状態にある空き家です。

管理不全空家や特定空家として勧告を受けると、土地にかかる固定資産税の住宅用地特例が解除され、固定資産税が最大で約6倍になる可能性があります。

特定空家について必要な措置を命じられたにもかかわらず従わない場合などには、行政代執行によって建物が除却され、その費用を所有者が負担することがあります。

住まない実家を相続するか判断する5つのポイント

住まない実家を相続するべきか迷ったときは、感情論で決めずに、客観的で総合的に判断することが重要です。
以下の5つのポイントで整理してみましょう。

今後その家に住む可能性があるか

まず考えたいのは、今後その実家に自分や家族が住む可能性があるかどうかです。

現在は別の場所に住んでいても、将来的にUターンする予定がある、親族が住む可能性があるなど、明確な利用予定があるなら、実家を所有しておくメリットがあります。

しかし、今後も現在の住まいを離れる予定がなく、家族を含めて誰も住む可能性がないのであれば、維持管理や固定資産税などの負担だけが続くことになります。

現在だけでなく、5年後、10年後も住む可能性がないのかを考えてみると判断しやすくなります。

【関連記事】空き家になった実家に住むのはアリ?メリット・デメリットと注意点を解説

実家を維持・管理できるか

実家を相続した場合は、所有者として建物や土地を適切に管理する必要があります。
実家が自宅から近ければ、定期的に訪問して換気や掃除、庭の手入れなどを行いやすいでしょう。

しかし、遠方に住んでいる場合は、実家へ通うための時間や交通費が負担になります。
仕事や家庭の事情などから定期的な管理が難しい場合は、空き家管理サービスなどを利用する必要もあります。

そのため「実家を所有した後も無理なく管理できるか」ということが大切です。

固定資産税や修繕費などを負担できるか

実家を相続すると、固定資産税などの税金だけでなく、建物や設備の修繕費が必要になることがあります。

たとえば、屋根や外壁、水回りなどに不具合が生じれば、修理や交換のためにまとまった費用が必要になる場合があります。

維持費や修繕費を長期間負担することになる可能性があるため、現在の家の状態や維持費を確認し、無理なく負担できるかを考えておきましょう。

売却・賃貸などの活用が可能か

住む予定がなくても、売却や賃貸などによって活用できる実家なら、相続するメリットがあります。

たとえば、駅に近い、生活に便利な地域にあるなど、需要が見込める物件であれば、売却や賃貸によって処分・活用できる可能性があります。

反対に、立地条件が悪い、建物が老朽化している、周辺の不動産需要が低いなどの場合は、売却や賃貸が難しいこともあります。

相続するか迷ったときは「住むか住まないか」だけでなく「住まなくても別の方法で活用できるか」という視点で実家の価値を考えることも重要です。

相続するメリットが負担を上回るか

実家単体だけでなく、預貯金や有価証券などを含めた相続財産全体で損得を判断します。
実家がマイナスの資産であっても、それを補って余りある預貯金が得られるのであれば、相続した上で売却や解体を進める選択が合理的です。
財産全体のバランスと引き継ぐ負担を天秤にかけ、トータルでプラスになるかを見極めましょう。

住まない実家を相続しない場合はどうする?

実家を相続したくない場合には相続放棄という手段があります。
ここでは相続放棄の仕組みと重要な注意点を解説します。

相続放棄を検討する

相続放棄とは、相続人が被相続人の財産を相続する権利を放棄する手続きです。
家庭裁判所に申述して受理されると、最初から相続人ではなかった扱いとなり、実家の所有権や維持管理の義務を引き継がずに済みます。
実家を含めた遺産全体の中にマイナスの財産(借金など)が多い場合にも有効な手続きです。

なお、相続放棄をした場合でも、相続放棄の時点で相続財産に属する財産を現に占有している場合は、相続人または相続財産清算人に引き渡すまで、その財産を保存する義務を負うことがあります。

相続放棄は実家だけを手放す手続きではない

相続放棄について特に注意したいのが、実家だけを相続放棄することはできないという点です。
「預貯金は相続したいけれど、実家だけはいらない」という理由で、実家だけを選んで放棄することはできません。

実家以外にも預貯金や有価証券などの財産がある場合は、それらも含めて相続するかどうかを考える必要があります。

また、借金などのマイナスの財産がある場合にも注意が必要です。
相続放棄を検討するときは、実家だけでなく、相続する財産全体を確認したうえで判断することが重要です。

判断が難しい場合は、早めに弁護士や司法書士などの専門家へ相談するとよいでしょう。

相続放棄には期限がある

相続放棄は、いつでもできるわけではありません。
原則として、自分が相続人になったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所へ相続放棄の申述をする必要があります。
この期間を過ぎると、原則として相続を承認したものとみなされるため注意が必要です。

【関連記事】実家を相続したときの手続きの流れや注意点について解説

住まない実家を相続したらどうする?

相続を選択した場合は、放置せずに早期の出口戦略を立てることが不可欠です。
主な3つの対処法を紹介します。

売却して手放す

住む予定がない実家を相続した場合に、最も確実な解決策となるのが売却です。
早期に売却できれば、将来発生し続ける固定資産税や管理コスト、解体費用などのリスクから解放されます。

しかし、すぐに売却できるとは限りません。
立地や建物の状態などによっては、買い手が見つかるまで時間がかかることがあります。

売却を検討する場合は、まず不動産会社などに査定を依頼し、実家がどの程度の価格で売却できそうなのかを確認してみるとよいでしょう。

賃貸などで活用する

立地条件が良く建物の状態が保たれている場合は、リフォームや修繕を行って第三者に貸し出す方法もあります。
定期的な家賃収入が得られれば、固定資産税や維持管理費を賄いながら資産として手元に残せます。

しかし、リフォームにかかる初期投資の回収期間や、将来的な空室リスク、借主とのトラブル管理といった経営的な側面を考慮する必要があります。

管理しながら所有する

将来的に自分や家族が住む予定がある場合や、感情面からすぐには処分を決断できない場合は、適切に管理しながら所有するのもひとつの方法です。

自身で定期的に換気や清掃、庭木の剪定に足を運ぶか、遠方の場合は空き家管理サービスなどを利用して状態を維持します。

放置による老朽化や近隣トラブル、特定空家への指定を防ぎながら、将来の方針をじっくり検討するための手段です。

まとめ|住まない実家は相続後の方針まで考えて判断しよう

住まない実家を相続すると、固定資産税や維持管理費などの負担が続くだけでなく、空き家の老朽化や近隣トラブルなどのリスクも生じます。
適切な管理を行わなければ、特定空家に指定される可能性もあるため注意が必要です。

しかし「住まないから相続してはいけない」と一律に判断する必要はありません。
将来的に住む可能性があるか、無理なく管理できるか、売却・賃貸などで活用できるかなどを総合的に考えることが大切です。

最も避けたいのは、方針を決めずに放置してしまうことです。
判断に迷う場合は、弁護士や司法書士、不動産会社などの専門家へ早めに相談してみましょう。