「空き家になった実家に住んだ方がいいのかな?」
「家賃も浮くし、空き家対策にもなるのでは?」
空き家になった実家に住むことには、家賃負担を抑えられる、管理の手間を減らせるなどのメリットがあります。
一方で、老朽化による修繕費や相続トラブル、生活環境の変化など、事前に知っておきたい注意点もあります。
感情だけで決めてしまうと「思ったより住みにくかった」「維持費が予想以上だった」と後悔するケースも少なくありません。
この記事では、空き家になった実家に住むメリット・デメリット、住む前に確認したいポイント、住む以外の選択肢まで詳しく解説します。
「自分にとって本当に実家に住むのがベストなのか」を判断する際の参考にしてください。
空き家になった実家に住むメリット
空き家になった実家に住むことには、家賃の節約だけでなく、空き家管理の負担軽減や精神的な安心感など、さまざまなメリットがあります。
しかし、住めばすべて解決するというわけではありません。
メリットを理解したうえで、自分の状況に合っているかを判断することが大切です。
家賃負担を抑えられる
最大のメリットは住居費の大幅な削減です。
賃貸マンションやアパートに住んでいる場合は、毎月の家賃支払いは大きな固定費となります。
実家に移り住むことで家賃負担がなくなり、固定資産税などの維持費のみに抑えられます。
浮いた資金を貯蓄や趣味、あるいは将来のためのリフォーム資金に回すことが可能になるのです。
都市部から少し離れた実家であれば、住居の広さを確保しつつ支出を抑えられるため、生活の質が向上するケースもあるでしょう。
空き家の管理負担や防犯リスクを減らせる
家は人が住まなくなるとすぐに傷むと言われます。
空き家のまま放置しておくと、換気が行われず湿気が溜まり、カビやシロアリの被害、配管の腐食が進んでしまいます。
遠方に住んでいる場合は「実家に行くだけで半日かかる」「交通費が負担になる」と悩む人も少なくありません。
自分で住むことによって、日常的に窓を開け、水を使うことができるため、建物の寿命を延ばすことにつながります。
また、人の気配があることは最高の防犯対策です。
不法投棄や放火、不法侵入といったリスクを自然に減らせるのは、所有者にとって大きな安心材料となります。
思い出のある実家を手放さずに済む
自分が育ち、家族の記憶が詰まった場所を取り壊したり、他人の手に渡したりすることに抵抗を感じる人は多いです。
実家に住み続けることで、親から受け継いだ資産を大切に守れるのです。
仏壇がある場合や、地域コミュニティとの繋がりを維持したい場合に、そのまま住み継ぐことは精神的な安定にも寄与します。
また、将来的に子ども世代へ引き継ぐという選択肢を残せるのもメリットです。
空き家になった実家に住むデメリット・注意点
空き家になった実家に住むことにはメリットがある一方で、注意したい点もあります。
後悔を防ぐためにも、事前にデメリットを把握しておきましょう。
想定以上にリフォーム費用がかかることもある
築年数が古い住宅では設備が劣化している場合が少なくありません。
たとえば次のような問題が見つかることがあります。
- 雨漏り
- シロアリ被害
- 給湯器やエアコンの故障
- 水回りの老朽化
- 耐震性の問題
「とりあえず住めそう」と思っていても、実際には数百万円単位の修繕費が必要になるケースもあります。
そのため、住み始めてから慌てないように、事前に建物の状態を確認しておくことが大切です。
固定資産税などの維持費が発生する
実家に住めば家賃が不要になる一方で、維持費は発生します。
代表的なのが次のようなものです。
- 固定資産税
- 火災保険料
- 修繕費
- 光熱費
- 庭木の手入れ費用
一戸建ては、マンションや賃貸住宅と比べて管理費用がかかりやすい傾向があります。
たとえば、屋根や外壁の修繕は数十万円〜百万円単位になることもあります。
また「親が払ってくれていたから気づかなかった」というケースも意外と多く、実際に住み始めてから負担を重く感じる方もいます。
家賃だけを基準に判断せず、年間でどれくらいの維持費がかかるのかを事前に試算しておくことが重要です。
通勤・通学など生活環境が合わないこともある
実家の立地が、自分のライフスタイルに合致するかどうかは非常に重要です。
家賃が浮くからという理由だけで、職場から遠く利便性の悪い実家に戻ると、毎日の通勤時間が負担になり、数年で挫折してしまうこともあります。
スーパーや病院までの距離、公共交通機関の利便性など、今の自分にとっての住みやすさを客観的に評価しましょう。
そこで無理なく暮らし続けられるか、という視点で考えることが大切です。
親族間での不公平感から相続トラブルに発展する恐れ
相続人が複数いる場合に、自分だけが実家に住むことで「一人だけ得をしている」「勝手に住み始めた」と思われてしまうケースがあります。
実際には悪気がなくても「空き家だから住んだだけ」という認識と「共有財産なのに勝手に使っている」という認識のズレが問題になることも少なくありません。
後々のトラブルを防ぐためにも、住み始める前に親族としっかり話し合っておくことが大切です。
将来的に住み続けられるか考えておく
今住めるかだけでなく、将来も住み続けられるかを考えることが大切です。
たとえば、自分が高齢になった際に、バリアフリー化されていない古い実家での暮らしが困難になる可能性があります。
また、自分がその家を離れた後、再びその家が空き家となり、次世代に負の遺産として残ってしまうリスクも否定できません。
今の居住だけでなく、その家を最終的にどう畳むかという出口戦略を含めて検討しておく必要があります。
空き家になった実家に住む前に確認したいチェックポイント
住めると確信して動く前に、いくつか確認しておきたいポイントがあります。
住めそうだから大丈夫と判断すると、後から費用や相続問題で困るケースもあります。
後悔しないためにも、事前にチェックしておきましょう。
名義は誰になっているか(相続登記の確認)
まずは家の権利が誰にあるのかを法的に確認してください。
相続登記(名義変更)が済んでいなければ、あなたが住んでいても法的な所有者とは言えません。
2024年4月から相続登記が義務化されており、放置すると過料の対象になるだけでなく、将来の売却やリフォームローンを組む際にも支障が出ます。
登記簿上の名義を変更できているか、最優先で確認しましょう。
建物の傷みや雨漏りはないか
長期間空き家だった実家は、見えない部分で傷んでいることがあります。
外見では問題なさそうに見えても、次のようなダメージが進行していることも少なくありません。
- 雨漏り
- シロアリ被害
- 給排水設備の故障
- 外壁や屋根の劣化
誰も住んでいない家は換気不足になりやすく、湿気によるダメージが蓄積しやすい傾向があります。
住み始めてから修理が必要になると、大きな出費につながる可能性があります。
可能であれば、事前に住宅の状態を確認し、必要に応じて専門業者へ相談すると安心です。
【関連記事】実家の雨漏りを放置するとどうなる?手遅れになる前に知っておきたい基礎知識
修繕費と家賃負担を比較する
修繕費と現在の家賃負担を比較してみましょう。
たとえば「家賃が月8万円だから、実家に住めば節約になる」と思っていても、次のような修繕で数百万円かかるケースもあります。
- 水回りの交換
- 外壁補修
- 雨漏り修理
- 断熱改修
修繕費が大きい場合、長期的に見ると賃貸住宅に住み続けた方が負担が少ないことがあります。
逆に、最低限の修繕だけで住めるなら、実家暮らしのメリットは大きくなります。
感情だけで判断せず「住居費全体で考える」ことが大切です。
火災保険や契約名義を見直す
火災保険や各種契約の名義も確認しておきましょう。
親名義のままになっていると、万が一トラブルが起きた際に手続きが複雑になることがあります。
たとえば次のような契約です。
- 火災保険
- 電気・ガス・水道
- 固定電話
- インターネット回線
空き家向けの火災保険に入っている場合は、人が住むことで契約内容の変更が必要になるケースもあります。
住み始めたあとで慌てることがないように、事前に確認しておきましょう。
兄弟姉妹がいる場合は事前に話し合っておく
兄弟姉妹がいる場合は、住み始める前に話し合っておくことが非常に重要です。
空き家になった実家は、相続人全員に関わる財産です。
そのため、何も相談せずに住み始めると「勝手に決めた」「自分だけ得している」と思われることがあります。
特に次のようなポイントで揉めやすいです。
- 将来的に売却するか
- 維持費を誰が負担するか
- リフォーム費用をどうするか
関係が悪化すると、相続手続きそのものが進まなくなることもあります。
面倒に感じても、最初に方向性を共有しておくことで、将来的なトラブルを避けやすくなります。
将来的に売却する可能性も考えておく
実家に住むと決めたとしても、将来的に売却する可能性はゼロではありません。
たとえば次のような理由で売却を検討することがあります。
- 転勤
- 家族構成の変化
- 建物の老朽化
そのため、一生住む前提で考えるのではなく「将来売る可能性もある」という視点を持っておくことが大切です。
実家に住む以外の選択肢
空き家になった実家は、必ずしも住む必要はありません。
状況によっては、別の選択肢の方が負担を減らせることもあります。
迷っている場合は、住む以外の方法も含めて検討してみましょう。
売却して維持費の負担をなくす
今後住む予定がない場合は、売却して現金化する方法もあります。
空き家を持ち続けると、次のような負担が継続的に発生します。
- 固定資産税
- 修繕費
- 管理の手間
遠方に住んでいる場合は、管理負担が大きくなることも少なくありません。
「使う予定がない」「管理が負担」と感じるなら、早めに売却する選択肢も検討してみましょう。
賃貸に出して空き家を活用する
実家の立地が良い、あるいは建物がしっかりしているなら、賃貸物件として活用する道もあります。
家賃収入が得られるため、固定資産税などの維持費をそこから賄うことができ、将来自分が住む可能性を残しておくことも可能です。
しかし、他人に貸すためには一定のリフォームが必要になるケースがあり、借主とのトラブルや修繕リスクを管理する手間、あるいは管理会社への委託費が発生する点は覚悟しておかなければなりません。
空き家管理サービスを利用して様子を見る
「すぐには決められない」という場合は、空き家管理サービスを利用するのも一つの方法です。
定期的な見回りや換気、郵便物の確認などを代行してもらえるため、遠方に住んでいる方におすすめです。
売却や居住を急いで決められない場合でも、家の状態を保ちながら考える時間を確保できます。
まとめ|空き家になった実家に住むか迷ったら「将来」まで考えることが大切
空き家になった実家に住むことには、次のようなメリットがあります。
- 家賃負担を抑えられる
- 空き家管理の負担を減らせる
- 思い出のある家を手放さずに済む
一方で、住み始めてから次のような負担を感じるケースもあります。
- 想定以上の修繕費
- 固定資産税などの維持費
- 通勤・通学の不便さ
- 相続トラブルのリスク
そのため「空いているから、とりあえず住む」ではなく「将来的にも無理なく住み続けられるか」「住まなくなった場合にどうするか」まで考えて判断することが大切です。
迷っている場合は、売却や賃貸活用、空き家管理サービスなど、住む以外の選択肢も含めて比較してみましょう。
焦って決断する必要はありません。
実家をどうするかは、今後の暮らしや家族関係にも関わる大切な問題だからこそ、将来を見据えて慎重に考えることが大切です。