「親が施設に入ったら、その後は何をすればいいのだろう」
このように悩んでいる方は少なくありません。
施設への入所は大きな節目ではありますが、その後に対応すべきことが数多くあります。
実家の扱い、各種手続き、お金の管理、そして親との関わり方などです。
これらを後回しにしてしまうと、空き家問題や金銭トラブル、家族間の揉め事につながる可能性があります。
一方で、あらかじめ整理しておくことで、負担を減らし、安心して親を見守ることができるようになります。
この記事では、親が施設に入った後にやるべきことや注意点、そして多くの人が感じる罪悪感との向き合い方について解説します。
親が施設に入ったらすること
親が施設に入ると、ひとまず大きな区切りを迎えたように感じるかもしれません。
しかし、その後に対応すべきことが多く残されています。
生活面・手続き面・実家の扱いなど、早めに整理しておくことでトラブルを防げます。
入所後に優先して検討すべきポイントを解説します。
実家を維持するか売却するか検討する
親が施設に入所した場合に、最も大きな課題となるのが残された実家の扱いです。
空き家になった実家は、住んでいなくても固定資産税や維持費(水道光熱費の基本料金、庭の手入れ、火災保険料など)が発生し続けます。
売却するべきかは状況によって異なります。
将来的に戻る可能性があるのか、相続人がどう考えているのかなども踏まえて判断する必要があります。
いずれにしても、放置は最もリスクが高いため、維持・売却・賃貸といった選択肢を比較しながら、早めに検討を始めることが大切です。
【関連記事】親が施設に入ったら実家はどうする?4つの選択肢と注意点を解説
住民票を移すか検討する
住民票を移すことで、介護サービスの利用や行政手続きがスムーズになる場合があります。
また、自治体によっては介護保険の自己負担額やサービス内容に違いがあるため、移動によってメリットが生まれることもあります。
しかし、住民票を移すと元の自治体との関係が切れるため、各種制度への影響も考慮する必要があります。
施設の所在地や利用するサービス、今後の生活方針などを踏まえて判断しましょう。
判断に迷う場合は、施設の相談員やケアマネジャーに確認すると安心です。
新聞・定期購読・サブスクリプションの整理をする
施設入所後は、不要な支出を徹底的にカットすることが重要です。
新聞の配達、雑誌の定期購読、牛乳などの宅配サービス、さらには親が契約している動画配信サービスやスマートフォンの有料オプションなど、忘れがちな月額サービスを洗い出しましょう。
実家に届き続ける新聞などは、防犯上のリスク(ポストが溜まることで空き家だと悟られる)にもなるため、早急な停止手続きが必要です。
ケアマネジャーや施設との連携を行う
自宅介護でお世話になっていた居宅ケアマネジャーから、施設のケアマネジャーに変更されれます。
これまでの介護状況や病歴、親の性格や好みなどを施設側に詳しく伝えておくことで、入所直後のトラブルを減らすことができます。
食事の形態や服薬管理については、改めて施設スタッフと認識を合わせておきましょう。
施設スタッフとの関係づくり
施設での生活の質は、スタッフとの関係性にも大きく左右されます。
日頃から挨拶や簡単な会話を交わし、信頼関係を築いておくことで、親の様子について細かい情報を共有してもらいやすくなります。
ちょっとした変化にも気づいてもらいやすくなるでしょう。
一方で、過度に要求を押し付けるような関係になってしまうと、かえってコミュニケーションが難しくなることもあります。
感謝の気持ちを伝えつつ、適切な距離感を保つことが大切です。
親が施設に入った後のお金と手続き
親が施設に入ると、生活費の構造が大きく変わります。
これまで親が管理していたお金を、家族が把握・管理することになります。
トラブルを防ぐためにも、早い段階でお金と手続きを整理しておきましょう。
施設費用の支払いと管理方法
施設の利用には、月々の費用が発生します。
支払い方法は口座引き落としが一般的ですが、どの口座から引き落とされるのか、残高は十分かなどを確認しておく必要があります。
また、医療費や日用品費など、追加で発生する費用もあるため、毎月の支出を把握しておくことが大切です。
支払いの遅れや不足がないように、家族で管理体制を整えておきましょう。
年金や保険の手続きを確認する
親の収入源となる年金についても、受給状況を確認しておく必要があります。
振込先口座や管理方法を見直しましょう。
また、医療保険や介護保険の内容についても確認し、必要に応じて手続きを行います。
生命保険や個人年金などの契約がある場合は、内容を把握しておくことで、将来的な資金計画に役立ちます。
家計管理を誰が行うか決める
施設代以外にも、医療費や日用品代、実家の維持費など、親の資産から支払うべき項目は多岐にわたります。
兄弟姉妹がいる場合は、誰が通帳を管理し、誰が支払い担当になるかを明確に決めておくことが相続トラブルの防止に直結します。
不透明な支出を疑われないように家計簿をつけ、領収書を保管しておきましょう。
親が施設に入った後にやってはいけないこと
施設に入ったことで安心してしまうと、思わぬトラブルにつながることがあります。
避けるべき行動について解説します。
面会を極端に減らしてしまう
入所直後は環境の変化により、親が精神的に不安定になりやすい時期です。
忙しさを理由に面会を極端に減らしてしまうと、親は孤独感を感じ、認知機能の低下を早めてしまう恐れがあります。
家族が状況を把握しにくくなるというデメリットもあります。
短時間でも良いので、定期的に顔を見せて、新しい環境への適応をサポートしましょう。
施設に任せきりにしてしまう
プロに任せているから安心と過信し、体調の変化やケガなどに無頓着になるのは危険です。
施設スタッフも人間であり、多忙な中では見落としが生じることもあります。
面会時には、親の顔色や手足の状態をさりげなく確認し、違和感があればすぐにスタッフに確認することが、親の安全を守ることにつながります。
お金や契約内容を把握しないまま放置する
費用や契約内容を確認しないままにしておくと、思わぬ出費やトラブルにつながることがあります。
施設の契約内容や支払い条件は、しっかり理解しておくことが重要です。
定期的に見直しを行い、不明点があれば早めに確認しましょう。
実家を放置して空き家問題に発展させる
実家を放置すると、建物の老朽化や近隣トラブル、防犯リスクなどが高まります。
管理が行き届いていないと、将来的に売却が難しくなる可能性もあります。
空き家になった時点で、定期的な管理や今後の活用方法を検討することが重要です。
親を施設に入れてよかったのかという罪悪感との向き合い方
親を施設に入れた後に「これでよかったのだろうか」と悩む方は少なくありません。
しかし、在宅介護が難しくなった結果として施設を選んだのであれば、それは家族にとっても親にとっても現実的な選択です。
無理をして共倒れになるよりも、専門的なケアを受けられる環境に任せることは、決して間違いではありません。
大切なのは、施設に入れた後も関わりを持ち続けることです。
面会や連絡を通じて親の様子を見守り、安心できる環境を一緒に作っていくことが、家族としてできる大切な役割です。
罪悪感を抱えすぎず「できることを続けていく」という意識を持つことが、長く良い関係を保つためのポイントといえるでしょう。
まとめ
親が施設に入ることは、新たなスタートといえます。
実家の管理や売却の検討、住民票や各種手続きの見直し、そしてお金の管理など、早めに対応しておくべきことが数多くあります。
実家を放置してしまうことや、お金の流れを把握しないままにしてしまうことは、後々大きなトラブルにつながるため注意が必要です。
施設に任せきりにせず、適度な距離感で関わり続けることも大切なポイントです。
親を施設に入れたことに対して罪悪感を抱く方も多いですが、それは自然な感情です。
無理をして在宅介護を続けるよりも、専門的な環境で安心して生活してもらうことは、決して間違った選択ではありません。
できることを一つずつ整理し、無理のない形で関わり続けていくことが、親にとっても家族にとってもより良い生活につながります。