「誰も住まなくなるのだから止めてもいいけど、本当に大丈夫かな?」
「長年使ってきた番号を消してしまうのは忍びない」
親が施設に入所すると、実家の固定電話をどうするべきか悩む方は少なくありません。
これまで当たり前に使っていた電話番号だからこそ「すぐ解約していいのか」「そのまま残した方がいいのか」と迷ってしまうものです。
しかし、誰も住まなくなった実家に固定電話を残しておくと、毎月の基本料金が発生し続けるだけでなく、防犯面での不安につながる可能性もあります。
一方で、将来的に自宅へ戻る可能性がある場合や、長年使ってきた番号を残したい場合には、休止という選択肢が適しているケースもあります。
この記事では、親が施設に入所した際の固定電話の扱い方について、解約と休止の判断基準や、事前に確認しておきたいポイント、手続き時の注意点などを解説します。
親が施設に入所したら固定電話はどうするべき?
実家に誰も住まなくなる場合、固定電話をそのままにしておくのは得策ではありません。
実家を今後どうするかという視点で、以下の2つから選択します。
家を売却・解体する予定なら解約
実家を売却したり、解体して更地にしたりといった方針が固まっている場合は、解約を選択しましょう。
解約すれば、以降の基本料金は一切かかりません。
一度解約すると、長年使ってきた電話番号は消失し、同じ番号を復活させることはできなくなります。
しかし、家そのものがなくなるのであれば、維持し続ける必要性は低いです。
将来的に家へ戻る可能性があるなら休止
「体調が回復したら自宅に戻りたい」という親の意欲がある場合や、しばらく空き家のまま維持する場合は、利用休止という選択肢があります。
NTTの回線の場合、利用休止の手続きをすれば、5年ごとの更新で最大10年間は電話回線を使う権利(電話加入権)を保管しておくことが可能です。
この期間内であれば、再び同じ番号(または同じ地域の番号)で電話を再開できる可能性があります。
施設入所後に固定電話を放置するデメリット
親が施設に入所したあとも、実家の固定電話をそのまま放置してしまうケースは珍しくありません。
しかし、誰も住んでいない家の固定電話を維持し続けることで、費用面や防犯面の問題が発生する可能性があります。
「忙しいから後でいいか」と放置してしまうと、思わぬリスクが生じます。
使っていなくても発生し続ける基本料金の無駄
固定電話は、たとえ一度も通話をしていなくても、毎月の基本料金が発生し続けます。
わずかな金額と思われがちですが、入所が長期化すれば数万円単位の支出になります。
施設費用などで出費がかさむ時期だからこそ、不要な固定費は早めに見直しておくとよいでしょう。
空き家だと気づかれ、防犯面の不安が高まる
固定電話を長期間放置していると、防犯面での不安が高まる場合があります。
たとえば、電話をかけても常に応答がない状態が続くことで「この家には誰も住んでいないのでは」と察知される可能性があります。
また、空き家は不審者の侵入や空き巣のターゲットになりやすい傾向があります。
固定電話だけが残ったままの状態では、実家の管理が行き届いていない印象を与えてしまうこともあるでしょう。
防犯の観点からも、家主が不在になるなら回線を整理しておくのが安心です。
固定電話を解約する前に確認したいポイント
固定電話は一度解約すると、同じ電話番号を再び使えなくなります。
そのため、勢いで解約するのではなく、事前に確認しておきたいポイントを整理しておくことが大切です。
特に親世代は固定電話を長年利用しているケースが多いため、思わぬところで影響が出る可能性があります。
親本人が「番号を残したい」という強い希望がないか
高齢の親にとって、固定電話の番号は長年使い続けてきた大切な連絡手段であることが少なくありません。
親戚や友人、近所の知人などがその番号を覚えているケースも多く「番号が変わると困る」と感じる方もいます。
また、施設入所後も「いつか家に戻りたい」と考えている場合は、固定電話を解約されることに不安を感じてしまいます。
家族としては固定費削減を優先したくなるかもしれませんが、まずは親本人の気持ちを確認しておくことが大切です。
もし番号を残したい希望が強い場合は、解約ではなく休止という選択肢も検討するとよいでしょう。
インターネット(光回線)とのセット契約を確認
固定電話の中には、インターネット回線とセット契約になっているケースがあります。
光回線を利用した「ひかり電話」などの場合は、固定電話だけを解約したつもりでも、インターネット契約全体に影響が出る可能性があります。
また、解約内容によっては違約金や機器返却が必要になることもあります。
契約内容をよく確認しないまま手続きを進めると「Wi-Fiまで使えなくなってしまった」というトラブルにつながることもあるため注意が必要です。
まずは契約書類や毎月の請求書を確認し、どの会社とどのような契約になっているのか整理しておきましょう。
銀行・役所・親戚など「登録番号」の変更リスト作成
長年実家の番号を連絡先として登録していた場合、その変更作業が必要です。
- 金融機関・クレジットカード会社
- 市役所・年金事務所
- かかりつけの病院
- 親戚・知人・友人
- お寺
これらをリストアップし、解約前に新しい連絡先(本人や家族の携帯電話など)への変更を済ませておきましょう。
ホームセキュリティや緊急通報システムと連動していないか
固定電話が、ホームセキュリティや緊急通報システムと連動しているケースもあります。
たとえば次のようなものです。
- 見守りサービス
- 緊急通報装置
- 火災通報システム
- セキュリティ会社
これらが固定電話回線を利用している場合は、電話を解約するとサービス自体が使えなくなる可能性があります。
一時的に空き家管理を続ける場合や、親が一時帰宅する可能性がある場合には注意が必要です。
解約前には、どのサービスが固定電話回線を利用しているのか確認しておきましょう。
親本人が手続きできない場合の対処法
固定電話の契約者が親本人になっている場合は、施設入所後の手続きが難しくなることがあります。
認知症などの影響で本人確認ができないケースでは、通常の解約手続きが進められない場合もあります。
そのため、状況に応じた対応方法を事前に把握しておくことが大切です。
家族が代理人として手続きする際に必要な書類
親本人が手続きできない場合は、家族が代理人として解約や休止の手続きを行います。
その際には次のようなものを求められることがあります。
- 委任状
- 契約者本人の本人確認書類
- 代理人の本人確認書類
必要書類は通信会社によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。
また、施設入所後は親本人が自宅にいないため、契約書類や電話番号の情報が見つからず、手続きに時間がかかるケースもあります。
あらかじめ、契約先や電話番号、契約者名義などを整理しておくとスムーズです。
認知症などで意思疎通が難しい場合の成年後見制度の活用
親の認知症が進み、委任状の作成も難しい場合は、成年後見人が手続きを行うことになります。
すでに後見人が選任されている場合は、後見人が登記事項証明書を提示することで解約手続きが可能です。
まだ選任されていない場合は、手続きのために制度を利用すべきかどうか、専門家(司法書士や弁護士)に相談することをおすすめします。
固定電話の解約・休止手続きの流れ
固定電話の解約や休止は、契約している通信会社へ連絡することで手続きを進められます。
契約内容によっては工事や機器返却が必要になる場合があります。
NTT(116番)や契約中の通信会社へ連絡
まずは、契約している通信会社へ連絡し、解約または休止の手続きを行います。
NTTの一般加入電話であれば「116番」へ連絡することで相談できます。
しかし、現在は契約形態が多様化しています。
- 光回線
- ケーブルテレビ回線
- インターネット電話
そのため「固定電話=NTT」とは限らない点に注意が必要です。
毎月の請求書や契約書類を確認し、どの会社と契約しているのかを把握しましょう。
また、本人確認や契約情報の確認を求められることもあるため、事前に必要書類を準備しておきましょう。
撤去工事の有無とレンタル機器(ルーター等)の返却手順
契約内容によっては、固定電話の解約時に撤去工事が必要になる場合があります。
光回線を利用しているケースでは、ONUやルーターなどのレンタル機器を返却しなければならないこともあります。
返却を忘れると、機器代を請求される可能性もあるため注意が必要です。
また、撤去工事の日程調整が必要になる場合もあるため、施設入所や実家整理のスケジュールに合わせて早めに確認しておくと安心です。
解約後のトラブルを防ぐためにも、返却物や工事内容は事前に通信会社へ確認しておきましょう。
まとめ
親が施設に入所したあと、実家の固定電話をどうするべきかは「今後その家をどうするか」によって判断が変わります。
実家を売却・解体する予定なら解約、将来的に自宅へ戻る可能性があるなら休止を検討するとよいでしょう。
しかし、固定電話は長年利用してきた重要な連絡手段でもあるため、親本人の気持ちを確認しながら慎重に判断することが大切です。
また、固定電話の解約前には、光回線とのセット契約や登録電話番号の変更、見守りサービスとの連動なども確認しておかなければなりません。
親本人が手続きできない場合は、必要書類や成年後見制度についても事前に把握しておきましょう。
施設入所後は、固定電話だけでなく、実家全体の管理や固定費の見直しが必要になるケースも少なくありません。
不要なトラブルを防ぐためにも、早めに整理を進めていきましょう。
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