「実家が空き家になってしまったけれど、とりあえず放置している」
親の入院や施設入居、相続などをきっかけに、実家が空き家になるケースは珍しくありません。
しかし、明確な方針を決められないまま放置してしまうと、思わぬトラブルにつながる可能性があります。
とはいえ「何から手をつければいいのかわからない」「まだ大丈夫だろう」と感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、実家を空き家のまま放置することで起こるリスクと、放置しないための具体的な解決策について分かりやすく解説します。
今後どうすべきか判断するための参考にしてください。
実家を空き家のまま放置するとどうなる?主なリスク
空き家は放置するほど状況が悪化し、思わぬトラブルや費用負担につながる可能性があります。
実家を空き家のまま放置した場合に起こりやすいリスクについて解説します。
建物の老朽化が急速に進む
空き家は人が住んでいないだけで、想像以上に早く劣化が進みます。
普段の生活で行われていた換気や通水がなくなることで、湿気がこもりやすくなり、カビや腐食が発生しやすくなるからです。
特に木造住宅の場合は、柱や土台が傷むと建物の強度自体が低下し、地震や台風の際に倒壊するリスクが高まります。
また、雨漏りに気づかず放置されることで、内部の腐食が一気に進行するケースも少なくありません。
結果として、まだ使える状態だった家が、数年で修繕不能なレベルまで傷んでしまうことがあるのです。
【関連記事】実家の雨漏りを放置するとどうなる?手遅れになる前に知っておきたい基礎知識
資産価値が下がり売却しにくくなる
空き家は時間が経つほど資産価値が下がります。
建物の劣化に加え、管理されていない家という印象がつくことで、買い手が付きにくくなるからです。
次のような状態になると売却が難しくなります。
- 外観の劣化
- 庭が荒れ放題
- 室内のカビや臭い
放置期間が長くなると解体前提での売却になることも多く、結果的に価格が大きく下がってしまいます。
「特定空き家」に指定されると固定資産税が最大6倍に増える
空き家を放置していると、自治体から「特定空き家」に指定される可能性があります。
これは、倒壊の恐れや衛生上の問題があると判断された空き家に対して行われる措置です。
特定空き家に指定されると、住宅用地の特例が外れ、固定資産税が最大で6倍に増えることがあります。
とりあえず持っているだけだった家が、一気に大きな負担になる可能性があるのです。
行政からの指導や勧告を無視すると、最終的には強制的な解体(行政代執行)に進むケースもあります。
庭木の越境や害虫・害獣の発生による近隣住民とのトラブルが起きる
空き家の放置は、周囲の住民とのトラブルにつながりやすい問題でもあります。
たとえば次のようなことが起こります。
- 庭木や雑草が隣地にはみ出す
- 害虫が発生する
- 害獣が住みつく
これらは近隣住民に直接的な被害を与えるため、クレームや苦情に発展しやすく、関係悪化の原因になります。
屋根瓦の落下などで加害者となり損害賠償を請求される可能性がある
空き家の劣化は、周囲に次のような被害を与えることがあります。
- 屋根瓦が落下して通行人に当たる
- 外壁の一部が剥がれて隣家を破損する
- 倒木が車や建物に被害を与える
このような場合、所有者は管理責任を問われ、損害賠償を請求される可能性があります。
空き家であっても、所有している以上は責任があるのです。
不法侵入や放火など犯罪被害に遭う可能性がある
人の出入りがない空き家は、犯罪の対象になりやすい傾向があります。
具体的には、次のような犯罪が発生する可能性があります。
- 不法侵入
- 放火
- ゴミの不法投棄
一度荒らされると、さらに荒廃が進みやすくなり、治安の悪化にもつながります。
また、放火によって近隣住宅に延焼した場合、大きな問題に発展する恐れもあります。
実家を空き家のまま放置しないための解決策
空き家を放置するとさまざまなリスクがある一方で、状況に応じた対処を行えば負担やトラブルを減らすことができます。
実家の空き家を放置しないために検討したい具体的な解決策を紹介します。
売却して現金化する
もっとも現実的で多くの人が選ぶ方法が売却です。
空き家を手放すことで、維持費の負担から解放されるだけでなく、現金として資産を活用できるようになります。
状態が良いうちに売却することで、より高値で売れる可能性が高くなります。
いつか使うかもしれないと考えているうちに価値が下がるケースが多いため、早めの判断が重要です。
賃貸として活用する
立地や建物の状態によっては、賃貸として活用する方法もあります。
人が住むことで建物の劣化を防げるうえ、家賃収入を得られるメリットがあります。
しかし、次の点に注意が必要です。
- リフォーム費用がかかる
- 入居者対応の手間が発生する
収益性と手間のバランスを考えて判断することが大切です。
解体して更地にする
建物の老朽化が激しく、修繕が困難な場合は、思い切って解体するのも一つの手です。
更地にすることで、駐車場や資材置き場などの土地活用がしやすくなり、売却のハードルが下がります。
建物がある状態よりも固定資産税は高くなりますが、倒壊や火災のリスク、近隣トラブルの種を根本から絶つことができるというメリットは非常に大きいです。
空き家管理サービスを利用する
「今はまだ判断できないが、放置はしたくない」という方には、管理代行サービスの利用が適しています。
月額数千円から、専門業者が定期的に通風・換気、通水、清掃、郵便物の整理を行ってくれます。
建物の傷みを最小限に抑え、近隣トラブルを防ぎながら、将来的な売却や活用に向けた猶予期間を確保できます。
「相続土地国庫帰属制度」や相続放棄など、法的な手放し方の検討をする
どうしても活用や売却が難しい場合は、法的に手放す方法も検討できます。
たとえば次のような方法があります。
| 相続土地国庫帰属制度 | 一定の条件を満たせば土地を国に引き取ってもらえる制度 |
| 相続放棄 | 相続自体を放棄することで不動産も引き継がない方法 |
しかし、いずれも条件や制約があり、誰でも利用できるわけではありません。
また、手続きには期限や費用が伴うため、事前に専門家へ相談することが重要です。
まとめ
実家を空き家のまま放置することは、経済的な負担だけでなく、精神的な重圧も増やし続けてしまいます。
建物の老朽化や資産価値の低下だけでなく、税金の増加や近隣トラブル、さらには損害賠償につながる可能性もあるため「とりあえずそのまま」にしておくのは避けたいところです。
一方で、空き家には売却・賃貸・解体・管理サービスの利用など、状況に応じたさまざまな対処方法があります。
どうしても活用が難しい場合には、制度を活用して手放すという選択肢もあります。
大切なのは「いつかやろう」と先延ばしにせず、現状を把握したうえで早めに行動することです。
少しでも不安を感じている場合は、まずはできることから一歩踏み出してみてください。